時を超えて語りかける木
年輪の奥、
うねりの深み。
そこに宿るのは、
誰かが「生きた」ことの、
静かな証し。

迷い、進み、また立ち止まりながら
人の生の残響を思う。

木は語る。
「ここに、確かに生きた」と。
緑の系譜
風に頼りない枝先が、
まるで誰かの手のように揺れている
苗は 土の深くに問いを落とす、
「ここに 根を張ってもよいか」

土に根を張ることは 過去と結ばれること
天に枝を伸ばすことは 未来に約束すること

やがてこの丘に木陰が生まれ
子らが走り、老いた者が腰を下ろすだろう
そして誰かが言う
「この木は、始まりを知っている」と
見えない根の祈り
風が通りすぎるたびに
私は ほかの誰かのことを思い出す
隣の枝に触れる指先のように
何かが ふと つながっている

オリーブの葉がざわめくとき
それは言葉のいらない祈りになる
違う場所に立ち
違う光を浴びながらも
見えないところで ひとつになること

だから私は揺れる
あなたが揺れた そのあとに
ここで ともに

ひととともにいきる

名古屋市16区 自然災害BCP